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女の子達の町

1 女の子達の町

そこの小学校はもともと女子校だった
数年前から男の子も入れるようになったらしいけど
あんまし男の子はいない
「女の子にとって快適!!」なその小学校の話題を聞きつけて
全国から女の子の子供を持つ親達は集まって来る
だから町全体は女の子達で溢れ出す
そんな町だった

僕には3つ年上のお姉ちゃんがいて
うちの両親も「女の子にとって快適!!」
のキャッチコピーに踊らされて、この町にやってきた

そこからが僕の人生を大きく変えたといってよい

2 入学式

「では一人ずつ名前を呼ぶからね みんな手を高く上げて 大きな声で『はい』ってお願いね☆」

「出席番号1番 あおきまさとクン」
「はい!」

ザワザワ 何だか辺りは騒がしい
キャー ウッソー!
"え? 何で ボク何か悪いことした?"

     2番

     いいきもみこちゃん

     うわつきこころちゃん

     えちなかあるちゃん

     ~~~

"分かった 分かったぞ この教室にはたくさんの女の子達がいて
男の子はボク一人なんだ!"

女の先生は言う
「は~い♥ みなさん 分かった通り
うちの組は男の子はあおきまさとクンただひとり
仲良くしてあげましょーねー」

女の子一同
「はーい」「絶対するするぅ~」(しねぇーだろテメエラ)

「はい 先生の名前はねェー」と白いチョークが踊る

     は
     て
     し
     な
     み
     ど
     り

この女性が僕の人生を大きく変えたといってよい

3 スカートめくらるり

女の子達の心は季節の花よりも移ろひ易い
昨日「このリボン」かと思へば
今日は「それダッサァー やっぱりエリマキよ」なんてさ
だからあまり深読みして考えない方がいいのだ
「ふ~ん 今は○○が流行ってるのかぁ~」なんてさ

ちょうど僕が入学する直前はストリートが流行っていたらしい
そして僕が入学した真っ盛りの頃ミニスカートが流行っていた
いや、実際それには訳がある
ピッカピカの一年生の男の子をからかうのだ

例えば、、、

女の子達が大勢走って来る
「やぁーーーーー!!」「めーーーーーん!!」
そして僕を囲むようにしておしりをくっつけて来るのだ

 

彼女達は

「めくれめくれ めくられん 乙女の魂 汝に捧ぐ」

とか訳の分からない事言って 僕がめくらないとプンプンと怒ったりする

中には向こうから、自身で桜色のパンツを見せてくるコもいて、そりゃー色彩が春真っ盛りなのである

5、6年生なんかは今思えばとってもエッチなんだけど
発育のいい胸までもくっつけて来たり、抱きしめて来たりで
入学当初はとてもカルチャーショックだった
でもこれはピッカピカの一年生対象なので
それ以後そういうおどろきビックリな体験はもうやって来なかった

4 目覚める妖精

「ねぇ マサト 見てよ見てよったらぁー」
お姉ちゃんがハツラツとした声で僕を呼ぶ
バレエの発表会があるらしく、衣裳で着飾って喜んでいるのだ
「ほらほらぁ~」と言って家中で踊っている

家族の団らんの時間、お父さんが冗談交じりで言う
「マサトも出てみたらどうだ?! バレエの発表会」
「そうよそうよ」と女性軍悪酔い
そして、みんな意気投合して、僕にお姉ちゃんの衣裳を
本人が嫌がるも無理矢理着せ始めた。
完了。

辺りは静まりかえる
スポットタイトが浴びせられ 僕は妖精になる
飛んで跳ねて羽根も軽やかに羽ばたかせる
うん。空だ
僕は空を舞っているんだ
よし! 出るぞ バレエの発表会☆