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  私的随喜    Private Column
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『クリスティーナという名の欲望』 --- それは希望

クリスティーナ 今、君はどこにいる?
僕は旅に出かける


『クリスティーナという名の欲望』 〜友達作るの好きだから〜   『クリスティーナという名の欲望』 〜やりたいことやってる顔ですね〜   『クリスティーナという名の欲望』 〜気分はNG〜♪   『クリスティーナという名の欲望』 〜猫もNGかよ〜♪   『クリスティーナという名の欲望』 〜「女のケツを追い回して」品定め〜   『クリスティーナという名の欲望』 〜さみしいのに猫じゃない〜   『クリスティーナという名の欲望』 〜なんか食べ行かない?〜



 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜友達作るの好きだから〜♪


せっかくの金曜の夕方、僕は外に出て歩きたくなり、チョコレートを7,8枚頬張って、携帯と鍵だけポケットに入れて部屋を出た。上の階に住んでいる人もこれからどこかへ外出と見えて、Kさんかな?と思いつつも、まぁ、多分そうだろうと踏んでちょうどタイミングよく挨拶にふさわしい遭遇である。

男二人は駅へ向かって一緒に歩くことになった。僕は別にあてはない訳だから、まぁ、とりあえず話し相手がいるっていうのはいいもんだ。そして主にKさんの身の上話から会話は始まった。なんでもKさんといえば、これまで布団のシーツだとかグレープジュースだとか何かしら落っこってきて、でも、彼の優しいほほえみは不思議と親近感を持たせるもので、怒る気にはならない、そんな存在。挨拶はちゃんと笑顔で気を遣っているし、他の住人と違ってその辺わきまえてるから好感が持てる。Kさんの前に住んでいた女の子は外見は可愛かったものの、毎晩深夜二時くらいまで大音量でダンスビートをかけまくるものだから、頭に来るそれだけの存在だった。その子は洋服の販売員らしく、スタイルもいいし目もぱっちりで媚び方が備わっていて、男からすると妄想するにはふさわしい子なんだけど、どうしても、そのかける馬鹿っぽいベース音が非常識にも深夜の眠りのさまたげになっていたことからか、苛々、IRRiTationというブランドの服でも売って腰振ってろ!と感じずにはいられなかった。

Kさんとの会話は駅まで続いたが、もしかしたらこれが最後の顔合わせになるかもしれない。そう。彼は一週間後にはこのアパートを去って長野に戻る、ということらしい。会社を辞めたということだ。そうか。そうだよな。なんだか毎晩深夜に帰ってきて辛そうだったしな。なんて、頷きながら、彼の人柄の良さから、多分、組織とか会社そのものっていう杓子定規と彼の感受性とは相容れないものがあったんだろうな、などと、僕のこととダブらせて、ちょっと感慨深くもなってしまった。

そうだな。僕は名刺を渡した。結局僕にできることってなんだろうか。いつもその存在意義を問わざるを得ない。僕は権力者でもなければ有名人でもお金持ちでもない。社交家でもなければどこかそれが例え地域の小さな団体などのリーダーって訳でもないんだ。でも、生きざま、感じるもの、それらから自ずと浮き彫られるメッセージはいつもここにしまってある。僕が人に名刺を渡すのは、それは僕がメッセージを相手に伝える行為の第一歩だと、そう信じている。それは最終段階かもしれない。ただ一つ渡すか渡さないか、そう、ゼロをイチに切り替えることは僕にとっての使命。あとは縁だと思っている。組織や宗教のように強制や束縛はあまり好きじゃない。まずは僕は僕の空間や感受性を相手に知らせる、発信する。あとは、それを受け取った相手が入ってくるか、rejectするか無視するか、それだけのことだ。簡単。いたってシンプル。

僕は僕が傷付くことは慣れている。また、期待して裏切られることにも慣れている。だからといって、自分から発信することをやめようとは思わない。それは10に一つ、100に一つは必ず縁みたいな強い結びつきが生じてそこから生き甲斐に近い喜びを噛み締めること、それがとてもつもなく僕の人生にとってかけがえのないものだ、ということを実感しているから。

駅に着いた。
「じゃ、僕はこっち」と僕。
「僕は駅から電車に乗ります」とKさん。
「もしよかったら連絡下さいよ。メールとか。僕友達作るの好きだから。」

Kさんはメールをくれるだろうか。そういうことは僕にとってはどっちでもいいこと。ただ僕は相手が照れずに僕にコンタクトをとってくれるかもしれない最低限の下地を作った。「友達作るの好きだから」---それは紛れもない事実だし、寂しがり屋であることも認めた上での発言だ。そう素直に言えたことが僕が僕を誇れること。

そして、僕はKさんとサヨナラした。

20060602 8:11pm - 8:45pm

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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜やりたいことやってる顔ですね〜♪


Kさんと別れた後、僕はまたあてもなく歩き続けた。
この歳でただ手ぶらで歩くのはちょっと気がひける。というよりも、なるだけ「散歩している」ように見えない格好で「散歩する」ように周囲に気を配っているつもりだ。「あてもない」のは僕の人生そのものだし、それならまだしも、そこから「何かを求めている」んだから、脱力の中に意志がちゃんとしているのって、そういう姿や眼差しは絶対にばれる。僕だったら判別が付く。だから第二の僕第三の僕という判別者に出会っても大丈夫なようばれないように、会社や学校から帰宅中でーす、という格好で散歩に出かけることにしている。もしくは買い物しに行きまーす、とかね。

自らを放浪癖のあると言わしめるKさんの言葉。
「やりたいことやってる顔ですね」
人には様々な表現の仕方があるのだろうけど、このKさんのセンテンスは好きだな。彼の笑顔の背景には彼の生きざまが滲んでいる。きっと彼も密の深い生活、それが例え単調な毎日であったとしても、送ってきたに違いない。そういう人と酒でも酌み交わしながらしゃべるのは何もかもが味わい深いことだろう。


20060602 8:45pm -

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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜気分はNG〜♪


セブンイレブンを曲がったとこでふと後ろを振り返ると、綺麗なふくらはぎをしたスタイルのいい女性が目に付いた。彼女の足取りは止まったかにも見える。当然僕はそんなのお構いなし風を装い携帯で地方に住んでいるN君にメールを打ち始めた。多分その女性はあの人だろう。まぁ、オーケーだったら歩調ゆるゆるの僕を追い越す時にでも挨拶してくるだろうし、NGだったら歩くコースでも変えるだろう。その女性とは何度か話す機会があって、まぁ、他愛もない話である。でも、別にいつも道ばたで合ったりすると必ずといってもいい程、お互い歩調を緩めて雑談、まぁ、井戸端状態だ。僕は結構井戸端が好きなのだ。「ねぇねぇ奥さん、他愛もないこと話しませんか?」

N君にメールを打ち終えて、携帯をしまってワンブロック程歩いたところにミラーがある。そこで後方を確認したら、彼女はいなくなっていた。違ったのかな。あの人じゃなかったんだ。で、僕は右に曲がり西へ向かった。やはり夕方といえば西に向かいたくなるものだ。埼玉に住んでいた頃は夕方になると何故か北に向かっていたものだけどね。

そこで左右を見ると、やはり彼女が遠くに歩いて向かってきていた。あ、やっぱそうだったんだ。歩くコース変えたのね。ま、いいけど、別にNGで。NGの気分ってあるよね。別に理由がある訳でもなくてさ。ただ、「やめとこう」っていう。自分自身に引け目のある時だったり。例えば、僕だったら鼻毛が出てるかも、とかね。女性だったら今日は生理だから臭いで勘付かれちゃうかも(臭いの濃い人は強烈ですからね)、とか、試験に落ちちゃった、とか、子供が学校とかで、、、などなど、、、まぁ、家庭でもなかなか、、、うまくいってない、とかね。そういう相手からしてみてもなんでもないようなことでも(実はそこが生活の問題点だったりもする)、自分自身で気分にNGの旗上げたりする時ってあると思う、なんて空でも眺めながら西へ向かう。それにしても、人を避けるのもパワーがいるもんだよな、なんてね。思ってみたりもする。

- 9:09pm

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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜猫もNGかよ〜♪


遠目に子猫が。
どうしようかと迷う。でも、人生迷ったらオシマイだよね。その決断するスタート地点でもう勝負は決まっちゃってる。子猫ちゃんは敏感に感じたようで、僕から遠ざかる。僕の近付き方も不自然。ニャオと鳴いてみた。でも、駄目みたい。

不思議そうな顔してでも遠ざかっていった。

フン。猫もNGかよ。気分はNGかよ。


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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜「女のケツを追い回して」品定め〜♪


図書館へ。MUSIC MAGAZINEでも読む。考えてみれば音楽雑誌を読むとしたらここ10年でこれしか読まない。他は読む気が起きないっていうか。まぁ、あんまし人の活字追ってもねぇー、っていうのもある。その中でもMUSIC MAGAZINEは思春期の学生にふさわしい読み物だと思っている。時たまJazz Barで一、二杯飲んで、で、書き物でもして眠る風な生活の中にMUSIC MAGAZINEが存在していると渋くていいじゃない? たまに奥多摩でハイキングしてさ。誘われるとしたら何故か六本木のマンションのテラスでビール飲んで談笑してね。誘う側にはなれないからさ、この音野郎。

いい女とエッチしたいよね。「いい女ってどんな女?」って、スタイルがよくてちょっとずるくてでも奔放な人だよね。"都合のいい女"だよね。欲情は前提にあるよね。外でとかバックでとか。外だと太ももとか胸とか。バックだとお尻とかくびれとか。まぁ、なんだっていいんだけどね。熱いもの欲しいよね。筋立てはさ。いらないけど分かってるのがいいよね。こっちも相手も求めるもの、求めてゆくものを分かっててストーリーを口に出さず、ストーリーの中に自分達がいるのがいいよね。で、当然のように獣になってるのがいいよね。

よく「女のケツを追い回して」って表現あるよね。あれって二十代前半の頃はよく分からなかった。三十に近付いてやっと自分が「女のケツを舐め回すように」眺めて、「あぁ〜、そうなんだ」ってね。それって品定めなんだよね、きっと。動物的本能っていうかさ。そういう目付きの女性ともたまに目が合うじゃない? お互い分かってるっていうかさ。でも、口に出すのはこの現代社会においてはちょっと恐い訳よ。多分、ジャングルとか草原とかで二人きりだったら素直になれるんだけど。土に返ろう!みたいなさ。

みんなを見てる訳じゃないよ。品定めだからさ。だから大丈夫。安心して。ほとんどが「はい、ダーメ」って目に入れないようにしてるから。目が穢れるのが嫌なのよね。イメージがさ、重要だからさ。自分の脳内に入って来て欲しくない体型や立ち振るまいや肌の汚さって他聞にある。逆に綺麗だと相手に分かるように見つめるようにしてる。時に口に出す。相手に分かるようにね。現場に出会った人なら分かるだろうけど。

- 9:37pm

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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜さみしいのに猫じゃない〜♪


図書館を出る。帰る道をもう少し延ばしてみる。
猫発見。ん? なんだか遠目からこっちを見てるぞ。
なんとなくだけど、今度は自信が。

〜決断するスタート地点でもう勝負は決まってる〜

どこかで誰かが言ってた。

腰を下ろす。猫が寄って来た。なでなで。猫が当たり前のように横になる。なでなで。
お前こうして欲しいんだよな〜。俺もこうしてお前をなでてると癒されるよ〜。
「癒」の文字が脳の中ででっかく開花した。でっかいの。
で、脳の言語中枢が言う。「いや〜〜〜」
まるで「萌え」の「もえ〜〜〜」のごとく。

ずっとなでる。「お互いが幸せならそれでいいんじゃない?」
その構図は不倫関係でもそうだし二股関係でもそうだと思う。
バレなきゃいい、っていう次元ではない。
僕はずる賢くはなれないし、器用ではない。
まぁ、人は恋愛に対して不器用にできているはずだ。
だから、損得とか効率とか結果オーライとかそういう次元ではない。

気持ちよさげに道の真ん中で寝そべるこの猫。
「癒」の文字をでっかく映像として浮かべて「いや〜〜〜」と安堵な僕。
今のこの猫と僕との関係だよ。
なんの束縛し合うこともなくさ。

なでられたいから寝そべって♪
癒されたいからなでなでするの♪

クリスティーナ。君は今どこで何を思って生きている?

- 9:51pm

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 ♪『クリスティーナという名の欲望』 〜なんか食べ行かない?〜♪


何を求めて。何かを求めて。
求めることに良い悪いはない。時には強さが必要だ。勇気が。そして時には楽観的な気持ちになって受け入れる自分で在りたい。潮の香り、照りつける太陽、笑顔で挨拶、料理にたかる小蠅達and so on......

物足りなく思った。でも、僕は好奇心を保ち続けたい。だから、海岸線を歩くことにした。とにかく見知らぬ土地に来たら歩くことだ。知らない世界が待っている。そう信じてきたし、これからもきっとそうだ。

男が寄ってくる。たどたどしい英単語を並べて、いやらしい顔で時折日本語を混ぜている。

「俺はただリラックスしに来たんだよ。何もする必要はない。ただプールサイドで寝そべるだけさ。」

そうは言ったものの、リゾートという場所に独りというのは寂しいものだと痛感する。共感という文字がある。そう。共に感じる。美味しい食事をしたり映画を観たりスポーツ観戦であ〜だこ〜だ言い合ったり。人は言葉をしゃべる。口ってもんはただ食したりディープキスして自らを相手を昂らせたりするだけのものではない。歌うことだってできるし、自分の感じている気持ちや他愛もない情報を相手に伝えることだってできるんだ。そして、耳を通して、時折視角を通して、相手のメッセージを受け入れ、そこでYesと感じたりNoと感じたりして、共感や反感を得ることができる。

共感。非日常に居合わせることになったら、独りだと思考は喜ぶかもしれない。でも、胸のうちっていうか心からの充足は側に誰かが居てくれた方がいいね。メッセージを共有することでその時の感受性はより強く刻まれるからさ。自分の中だけで消化するのではなしに、発散することでより感受性が倍増する、と思うんだ。生徒としてただ授業を聞くのではなしに、時には先生となって教える立場になることでより深く理解することってあるじゃない? あれと一緒。

その子がどんなことを考えているのか、そもそもどんな子なのか、ってそれは食事に誘うといいよ。そうすれば本当に信じ合えるのか、安心して抱き合えるのか、セックスにおける気遣いや息遣いや手遣いなど、なんとなくだけど想像できるじゃない? ラーメンとかファーストフードでもまぁいいけど、できればゆっくり食事できる場所で。相手と付き合っていく上で、淡白ほど味気ないものはないし、忙しいを口癖にした日常だけは送りたくないからね。

そう。相手も自分のことをよく知って貰える良い機会だよね。食事って。だから重要なのかも。「なんか食べ行かない?」 この誘い文句の有無であなたの人生の半分が決まる。

20060602 11:27pm - 11:50pm
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